LEONはペナルティを跳ね除けて優勝
2025年4月13日、岡山国際サーキットで2025年スーパーGTの開幕戦決勝レースが行われました。優勝を飾ったのはGT500クラスが1号車au TOM’S GR Supra(坪井翔選手/山下健太選手)、GT300クラスが65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥選手/菅波冬悟選手)でした。GT500クラスのレポートをお届けします。
(motorsport.comの記事をもとに再編集しています)
ポールは、4号車グッドスマイル 初音ミクAMG
2025年1月のセパンから始まった国内外でのテスト走行を経て、2025年のスーパーGTが開幕した。今季はGT500の空力開発凍結をはじめとして、大きな変化のないシーズンとなるが、3月に2度行なわれた公式テストが悪天候に見舞われたことにより、各車データ不足の状態で開幕を迎えることになった。
開幕戦は予選日こそ晴れとなったが、決勝日は朝から雨が降り続いた。11時40分からのウォームアップ走行はヘビーウエットコンディション。雨は一時弱まったものの再び強まり、路面温度も15℃と低い。グリッド上ではタイヤのコンパウンド選びに悩んでいるという声も聞かれた中、13時10分にセーフティカー先導の下でスタートが切られた。
GT300のポールシッターは、4号車グッドスマイル 初音ミクAMG。Q2を走った片岡龍也選手にとっては久々のポール獲得となった。2番グリッドには777号車D’station Vantage GT3、3番グリッドには61号車SUBARU BRZ R&D SPORTが並んだ。
4周のセーフティカーランの後、5周目からレーススタート。31号車apr LC500h GTがスピンするなどいきなり波乱となったが、GT500クラスで多重クラッシュが起こったことにより赤旗中断となった。なお、多重クラッシュの現場を通過した後、わずかなグリーン区間で777号車D’stationが首位に躍り出ることに成功した。
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優勝を争っていた2台が一気に戦線離脱
レースが再開されると、トップの777号車D’stationを4号車グッドスマイルが追う展開に。雨量が弱まったことでダンロップタイヤとヨコハマタイヤの優位性に変化があったか、ヨコハマを履く4号車グッドスマイルの片岡選手が一気に差を縮めた。しかしパイパーコーナーでD’stationと接触してしまい、D’stationはグラベルスタック。片岡選手にもドライブスルーペナルティが出され、優勝を争っていた2台が一気に戦線離脱となった。
これでトップに立ったのは65号車LEON PYRAMID AMG。その後ろにいた61号車SUBARUはペースが上がらず、代わって表彰台圏内に上がってきたのは18号車UPGARAGE AMG GT3と666号車seven × seven PORSCHE GT3Rだった。UPGARAGEにとっては車両をNSXから変更しての初戦であり、ルーキーの野村勇斗選手にとってもデビューレース。そして新規参戦seven×sevenにとっても記念すべきデビュー戦である。
43周を超えると各チームの作戦が変わってきた
上記の2台は長く2番手を長く争っていたが、先にピットインしておりラップダウンになろうとしていたSUBARUの処理に手間取ったUPGARAGE野村選手を、seven×sevenの近藤翼選手が攻略して2番手に上がった。野村選手はその後6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIに追突され、ポジションを落とした。
トップを走るLEONは43周を走ってルーティンストップ。しかしタイヤは交換しないという大胆な作戦に出た。ただ流れが変わったのはその後。スリックタイヤに交換するギャンブルに踏み切ったチームが出始めたのだ。スピンで順位を落としていたUPGARAGEもその1台だったが、この作戦は大当たり。55周でLEONがたまらずタイヤ交換に向かってコース復帰したが、その背後には既にUPGARAGEの小林崇志選手が接近。小林選手は温まり切ったタイヤでLEONの蒲生尚弥選手をオーバーテイクし、首位交代となった。
LEONがトップに復帰するもペナルティ
しかし、波乱に終わりはなかった。GT500車両のストップでセーフティカーが出されると、残り10周でレース再開。LEON蒲生選手はUPGARAGE小林選手の背後でオーバーテイクの機会を虎視眈々と狙っていたが、アトウッドへのブレーキングでインに飛び込んだ。しかし小林選手も譲らず2台は接触。これでLEONがトップに復帰し、UPGARAGEは5番手に後退した。
ただ、LEONにはこの接触で5秒のタイムペナルティが出された。2番手を走るのは、こちらも抜群のタイミングでのタイヤ交換により、21番手スタートから順位を上げてきた26号車ANEST IWATA RC F GT3。しかし26号車を駆る安田裕信選手のペースは今ひとつ上がらず、ギャップを広げられていった。
結局LEONはペナルティを跳ね除けて優勝。2024年惜しくもタイトルを逃した悔しさを晴らすべく、好スタートを切った。2位はANEST IWATAで殊勲の初表彰台、3位は56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rだった。