フレンチホットハッチ2台巨頭の一角、ルノー5GTターボ
英国「グッドウッド」で開催される自動車イベントといえば、世界最大級のクルマのお祭り「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」。さらにはクラシックカーによるサーキットイベントの「グッドウッド・リバイバル」が有名です。近年では、原則としてクラブメンバーのみがエントリーできる、よりエクスクルーシヴなレースイベント「メンバーズミーティング」も開催。その時期には名門「ボナムズ」社が公式オークションを開催することになっているとのこと。2025年4月13日に開催された「GOODWOOD Members Meeting 2025」オークションでは、昨今急速人気上昇中のヤングタイマーホットハッチ「ルノー・シューペル5GTターボ」が出品され、ファンの間で話題を呼ぶことになりました。
アツ過ぎて火傷しそうなホットハッチ、シュペールサンクGTターボとは?
イギリスのモータージャーナリスト、自動車史研究のオーソリティとして知られるエリック・ダイモック氏は、自著の「The Renault File」内で、以下のように述べている。
「ホットハッチバック車は1980年代に大流行した。ダイナミックな面では生ぬるいクルマもあれば、かなり温かみのあるクルマもあった。しかしなかには、ホット過ぎて火傷しそうなクルマもあった。そんな時代の象徴のようなモデルのひとつが、ルノーのシュペールサンクGTターボである……」
1985年2月に登場したルノー「Super 5(シュペールサンク)GTターボ」は、当時の基準からしても、スポーツカーとしてはさほど高性能を期待できないかと思われる、排気量1.4Lの4気筒OHV8バルブエンジンを搭載していた。ところがこのエンジンは、フランスのレーシングマニュファクチャラーである「ルノー・スポール」のF1GPプログラムからスピンオフしたターボ過給技術のおかげで、そのウェイトをはるかに上まわるパンチ力を発揮した。
インタークーラーと組み合わせた「ギャレットT2」ターボチャージャーによって、最高出力115psを発生するシュペールサンクGTターボは、優れたパワーウェイトレシオを実現し、停止状態から時速60マイルまで7.2秒で加速する。最高速度は200km/hに達した。
シュペールサンクと差別化されていた「GTターボ」
また、エンジンにはオイルクーラーが装備されるとともに、その名のとおりGTとしての要素も満たすために、燃料タンク容量も増加。いっぽうサスペンションを締め上げることで車高が下げられ、リアには新たな「4本バー」リンクを採用。トレッドも拡大された。
くわえて、ステアリングはスタンダードの自然吸気シュペールサンクよりもクイックレシオに変更され、フロントにはベンチレーテッド・ブレーキローターを備えたブレーキシステムを装備。「ルノー・アルピーヌV6 GT」と同じデザインの幅広アルミホイールも装着される。
そして、前後バンパーをスポーティなスポイラー形状とするとともに、プラスチック製のサイドスカートは、GTターボと通常の「シュペールサンク」を差別化していた。