退役後のキャリアを支える企業としての姿勢を明確化
アストンマーティンは2025年5月1日、軍関係コミュニティへの支援を正式に誓約し、「アームドフォース・コベナント」に署名したと発表しました。これにより、同社は退役軍人、予備役、軍関係の家族に対する支援を強化し、より広範な公平性・多様性・インクルージョン(EDI)戦略の一環としての取り組みが示されたことになります。
アームドフォース・コベナントに署名
アームドフォース・コベナントの署名式は、2025年4月28日にアストンマーティン本社にて行われ、同社のエグゼクティブ・チェアマンであるエイドリアン・ホールマーク氏と、陸軍第1師団司令官のダン・リーヴ少将(MC)が出席。社内の退役軍人や予備役の従業員も参加した。
アームドフォース・コベナントとは、「現役または退役の軍人とその家族が公平かつ尊重されるべきである」という社会的な約束である。アストンマーティンはこの誓約に署名することで、軍関係者に配慮した雇用主であること、ならびに軍から民間へのキャリア移行を支援する姿勢を示した。
アストンマーティンCEOのエイドリアン・ホールマーク氏は、このように述べている。
「アームドフォース・コベナントに署名できたことを大変誇りに思う。当社は、退役軍人、予備役、軍関係の家族が持つ卓越した価値を認識している。技術的な専門性、優れたチームワーク、リーダーシップは我々のビジネスにとって重要である。この誓約は、すべての従業員が活躍できる支援的かつ包摂的な職場環境を整備するうえで、意義ある一歩である」
アストンマーティンの新たな誓い
アストンマーティンの誓約には、以下の内容が含まれる。
・現職および候補の軍関係者への支援
・退役軍人、予備役、軍人の配偶者・パートナー、士官候補生指導者の応募を歓迎する「軍関係者に優しい雇用主」としての企業ブランドの発信
・「軍関係従業員リソースグループ」による社内支援体制の提供
・アーミスティス・デー(停戦記念日)などの重要な日を記念し、軍人の奉仕と犠牲を称える
このような取り組みは、アストンマーティンが多様性と包摂性を重視した職場づくりに取り組んでいること、そしてすべての人にとって「働きがいのある会社」であることを改めて示すものである。
AMWノミカタ
イギリスではもちろん退役軍人やその家族は原則として尊重されるが、社会的・制度的な課題が依然として存在し、サポートは十分とはいえない。具体的には退役後民間生活にうまく適応できず、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や就職難を背景にホームレスになるケースや、軍人経験者が持つスキルや価値が民間企業で過小評価されることもあり、就労支援が重要とされている。
アストンマーティンはこの問題に積極的に取り組むことを宣言したその裏には、退役軍人のもつポテンシャルがどこのメーカーも抱えている「優秀な人材の確保」という問題を解決する可能性を秘めているということである。ホールマーク氏が述べたように、彼らの優れたチームワークとリーダーシップが、アストンマーティンのブランドに新たな推進力をもたらすことが期待される。