熱気渦巻くパドックはまるでお祭り
イースター休暇と重なったWEC(FIA世界耐久選手権)のイモラ戦は、まるでお祭りのような熱気に包まれていました。MotoGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシをひと目見ようと世界中からファンが集まり、パドックは大混雑。そのようなところから垣間見えた、モータースポーツを愛する人々の姿をお届けします。
イタリア勢が魅せた予選の快走
WEC(FIA世界耐久選手権)が開催されたのはイースターの連休中でした。レースウィークの土曜日ともなると狭いパドックは人だらけ。そのなかをタイヤや燃料、パーツなどを運ぶメカニックたちが忙しく走りまわっているので、警備員さんたちも事故のないようにフル稼働です。
毎戦のことですが、46号車のBMW「M4 GT3」を駆る大人気のバレンティーノ・ロッシのピット裏にはいつも大勢の出待ちファンであふれています。イタリアが生んだMotoGPの大ヒーローのロッシとひと目会えるのなら、待ち時間もファンのみなさん同士でおしゃべりをなさってとても楽しそうです。もちろん、ロッシグッズを身に着けるのは必須ですね!
イモラからクルマで1時間程の距離にフェラーリの本社があるマラネロが所在しているため、地元イタリアが誇るフェラーリファンも大挙しています。大勢のイタリアファンが見守るなか、LM GT3クラスはロッシらの46号車、ハイパーカークラスでは50号車のフェラーリが見事にポールポジションを獲得し、翌日のレースに期待が高まります。
ファンで賑わうイベントコーナー
予選があったこの日は前日よりも少し時間的に余裕があったので、イベントコーナーにも足を運んでみました。自動車メーカーのちょっとした展示やグッズのショップ、おいしそうなフードトラックなど、セッションの合間にファンの方たちの楽しい様子がよく分かりました。
ロッシの影響で今まで4輪レースにはほとんど興味のなかった2輪ファンの方たちも観に来るようになっていると感じます。ロッシが自身のSNSで彼の新たなGTドライバーとしての活動を数多く発信してくれているおかげでもあるでしょうね。またその逆で、4輪レースのファンがロッシの影響で2輪のレースにも興味を持つようになったファンも多いのではないでしょうか。私もそのひとりで、MotoGPをテレビで観戦するのが楽しみになりましたし、いつかファンとしてMotoGPのレースを現地で観に行ってみたいと願っています。
イモラで再会の奇跡
この日、インタビューの予定がありメディアセンターからパドックへ向かおうと思っていたら、私の名前を呼んでくださる方がいらっしゃり、ふと振り返ったところ日本人の男性でした。日本からF1のバーレーンに続いて、WECのイモラを現地観戦しにいらっしゃったそうです。
じつは2024年のル・マン24時間レースで私が疲れ切ってサーキットの敷地内をぼ〜っと歩いていたときにもお声掛けいただいた方で、私のコラムをご覧になって初めてル・マン24時間レースにいらしたそうです。ご定年退職後にアクティブなレース観戦旅行をするなんて素敵ですね。
快く送り出してくださる奥様も素晴らしいです。まさか2度も日本在住のモータースポーツファンの方に海外でお会いできるなんて思ってもいなかったので、大変嬉しいひと時でした。ほかにもちらほらイモラのパドックでは日本人らしきファンの方をお見かけしました。コロナ禍で渡航制限の次には円安が非常に長引いていますが、一日も早く落ち着いて日本からのご旅行やレース観戦にいらっしゃる方が増えることを願っています。
ところで、WECのイモラとスパにはイベントエリアに観覧車が設置されていて無料で乗ることができます。私がメディアセンターを出た夕方遅くにはお客さんがほとんどおらず、乗ってみることにしました。サーキットやイモラの旧市街も遠くに観ることができて爽快です。しかしこの日はとても風が強く、観覧車が強風にゆさゆさと揺れ続けていたので、少し酔ってしまいました。